40g
出汁
水1Lに、節40gと昆布10g
節は40g。多いと感じる量です。
家庭のレシピは20g前後が多い。それでも出汁は出ます。ただし、この連載の使い方には足りません。
ここでひく出汁は、かえしで割られます。薄い出汁で割ると、薄いつゆにはなりません。塩辛いつゆになります。
出汁は、割られる前提で引きます。だから40gです。
昆布は、水から
昆布は、水に入れてそのまま置きます。冷蔵庫なら一晩。急ぐなら常温で30分。
水の中で、昆布は自分から出ていきます。煮ると、ぬめりと磯の匂いまで出ます。
火にかけ、沸く手前で引き上げます。鍋の縁に細かい泡が並んだら、そこです。
拭きません。表面の白い粉は旨みです。汚れが気になるなら、固く絞った布で軽く払うだけにします。
沸騰の直前で止める
昆布を引き上げたら、節を入れます。
鍋の底から泡が上がり始めた、その手前で火を止めます。沸かしません。
沸かすと、鰹の香りが飛びます。残るのは酸味と、渋みです。
かえしを80〜85℃で止めるのと、同じ理由です。香りは、熱で最初に失われます。
2分置いて、漉す
火を止めたら、2分。
節が沈みます。沈んだら漉します。
長く置くほど濃くなる、ということはありません。えぐみが出るだけです。時間は味方ではありません。
絞らない
漉すとき、ざるの中の節を押さえたくなります。押さえません。
絞ると、濁ります。濁りと一緒に、雑味と酸味が出ます。澄んだ出汁が、絞った瞬間に別のものになります。
40gから出るはずの分は、絞らなくてもすでに出ています。残っているのは、出したくない方です。
落ちきるまで待ちます。待っている間は、何もしません。
何の節を使っているか
船場靭鰹節店の、当店指定の配合節です。
鯖・メジカマグロ・鰹の三種。主体は鯖です。
鰹だけの出汁は、香りが高く立って、すぐに引きます。椀ものならそれでいい。ただし、かえしで割って使うつゆには、下から支える節が要ります。鯖がその役です。
三種の比率は書きません。店の署名にあたるためです。
家庭では、手に入るもので構いません。ただし、削ってから時間の経ったものは、香りがもう残っていません。
二番出汁
一番を取ったあとの節と昆布は、まだ働きます。捨てません。
半分の量の水を入れ、弱火で10分ほど煮出します。ここは煮て構いません。香りではなく、旨みを取るためです。
漉します。これも絞りません。
二番は、煮物八方や味噌汁に使います。40gの節は、二度使って元が取れます。
保存
出汁は、その日のうちに使います。
冷蔵で翌日まではもちます。ただし、香りは半分になります。
余ったら、製氷皿で凍らせてください。一粒が味噌汁一杯分になります。冷凍でも、香りは落ちていきます。早く使ってください。
この設計は、和歌山・有田川町の完全予約制の店で使っているものです。
出汁は、水と、節と、昆布だけです。水1Lに、削り節40g、昆布10g。うまくいかない理由の多くは、材料ではありません。最後の一手にあります。
