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8月4日 訳あり、と、訳がある。──傷のある柑橘の話

8月4日
読了時間: 3分

更新日:8月17日

規格外、という言葉があります。


大きさが揃わない。皮に傷がある。出荷の箱に入れてもらえない果実のことを、そう呼びます。


うちの柑橘は、それです。


友人の畑から、弾かれたものが届く


専業で柑橘をつくっている友人がいます。その畑で出荷の規格から外れたものを、当店が引き受けています。


傷は、風で枝に擦れた跡だったり、日に焼けた跡だったりします。実そのものが傷んでいるわけではありません。ただ、箱に並べたときに揃わない。それだけの理由で、行き場を失います。


農家にとっては、育てた手間がそのまま消える話です。木は同じだけ時間をかけて、同じ土から水を吸い上げて、その実をつけています。


傷のあるものが、なぜか甘い

傷入りのみかんは甘い
傷のあるみかんは甘い

これは、板場で毎年感じていることです。


傷のついた実のほうが、うまいことがある。


木が傷を負ったところを守ろうとして、何かをしているのだろうと思います。実験をしたわけではないので、理屈は言えません。けれど、絞ったときに、はっきり違いが出ます。搾りたてをそのまま飲みものにお出しすることがありますが、いちばん素直に差が出るのがそれです。


それを何年も見てきて、こう言うようになりました。


本当の味の探究には、訳がある。


訳あり、と、訳がある。同じ音のなかに、両方が入っています。


海と、大地で、同じことをしている

朝迎えに行った魚
朝早く港に魚を迎えに行く

朝、湯浅の栖原港へ自ら出向いて、魚を受け取っています。魚種は指定しません。網に入ったものを、そのまま引き受けます。大きなものも、小さなものも、値のつきにくいものも、一緒に受け取ります。


畑では、規格から外れたものを引き受けています。


やっていることは、同じです。見た目で選ばない。


選ばないと決めると、こちらの仕事は増えます。その日に来たものに、こちらが合わせなければならないからです。献立は前もって決まらず、朝に決まります。


けれど、そうやって受け取ったもののほうが、皿の上で強い。これも理屈ではなく、続けて分かったことです。


紀州は、海と山が近い


有田川町は、和歌山のこの一帯のなかでも、海と山の距離が短い土地です。朝に港へ出て、昼にはもう山あいの店に戻っています。柑橘の段々畑は、その道の途中にあります。


魚と果実が、同じ日のうちに同じ板場に並ぶ。そういう場所で料理をしています。


礼が、そのまま名前になった


柑橘よ、甘みをありがとう。


その礼が、そのまま店の名になりました。






糀dining39シトラス 

和歌山県有田川町小島215-5/0737-52-3939(水曜定休) 

ご予約 →

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